最近少し…
気のせいだろうか?
以前と比べて少しだけ、“扉”が錆付きつつある。
良い事なのかもしれない。
だけど、どこかでそれを悲しんでいる自分は不謹慎だろうか?
自分の中の“俺”もまた、自分の一部だから。
“柳也”という存在を殺したが故なのだろうか?
僕はもう、柳也じゃない。
今も一部では柳也を名乗っているが、その本質は最早柳也ではなく“朔夜”だ。
ただ、名残りとして名前が残っているだけ。
だから、同時に失ったものも幾つかある。
まずは言語能力。以前ほど論戦のような議論は出来なくなってきている。
言葉を武器にするのが、いい加減莫迦らしくなったのかもしれない。
元々気の効いた台詞など言えなかったが、これで更に言葉に詰まりやすくなるだろう。
それはそれで問題かもしれないが。
それに関連してか、思考能力も落ちている。
自分でも驚くほどに最近、『考える』ということをしなくなってきている。
いや、ボケたとかそういう意味ではなく。
これらの現象は、今の自分の本質が“柳也”に戻る事を拒んでいるということなのだろうか。
だとすれば。
『柳也の否定』が、朔夜としてなすべき事なのならば…
柳也として決別した人達と、また笑いたいと思っているのだろうか、俺は。
ムシの良い話だというのに。
わからない。
自分は何を望んでいるのか。
ただひとつ判っているのは…
戦い続けた事で、友達に泣かれたという事だ。
もうやめてくれと。
争いなんてバカらしいと。
誰も泣かせたくなくて、立ち上がった心算だったんだけど。
その友達に泣かれた以上、自分にはもう、戦う理由は無い。
だから柳也を殺した。
自分の中から柳也を消した。
もう誰も傷付けない為に。
自分から、争い事に首を突っ込まない為に。
自分から、誰かと敵対しないようにする為に。
まぁ、柳也として自分を見ていた人にとっては、多分今の自分は抜け殻とも呼べない代物なのかも。
まぁ良いさ。
とりあえず数年振りに変えた名前に、少しずつ馴染んでいくかね。
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